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最適な性能を得るために ―HALCONベンチマーク・サービスとは?

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豊富な画像処理ライブラリを持つHALCONは、画像検査装置や位置計測等のマシンビジョン分野で幅広く活用されています。画像処理ライブラリには、マッチング、ブロブ解析・モフォロジー、欠陥検出、オブジェクト認識など各用途で必要とされる構成要素のオペレーター(スクリプト言語)が約2,000種類あります。各オペレーターには性能特性があり、画像処理用PCを仕様設計するうえで難しい傾向があります。オーバースペックに陥ることを避けつつ、産業用画像処理PCに求められる厳しい性能要求をクリアするうえで効果的なHPCシステムズのHALCONベンチマーク・サービスをご案内しましょう。

画像処理用PCの仕様設計の最適化が難しい理由とは?

求める性能が出ないときに、クロックを上げれば良いのか、コア数を増やせば良いのか、はたまたバスの帯域なのか・・・、と手探りで設計していくのは時間がかかります。たとえそれで求める性能を出せたとしても今度は「実はオーバースペックになってしまったのではないか?」という不安がつきまといます。
この問題を解決するためには、そもそも画像処理性能はどのような要素によって変化するかを知らなければなりません。
対象物を撮像した画像を処理用マシンに転送して画像処理モジュールを動かして処理結果を得る、という流れの中で、画像は画像サイズやビット深度、ピクセル精度、マシンはCPU/GPUのクロック数や並列数、またメモリーなど、多くのスペックが処理性能に影響します。それに加えHALCONの約2,000種類あるオペレーターと組み合わせて使用しますので、その種類によって性能数値は異なる結果を示します。単純に「並列数を増やせばその分速くなる」というようなものではないことが、特定用途に向く最適なPCの設計を困難にしています。

オペレーターごとの性能特性ベンチマークが必要

最適な画像処理用PCを設計するために欠かせないのが、HALCONオペレーターごとに行うベンチマークです。このうち以下についてはHALCONに付属しているベンチマークプログラム「hbench.exe」で計測可能です。

(ベンチマーク項目)
Median 3×3 (byte)、Median 5×5 (byte)、Median 3×3 (uint2)、Median 5×5 (uint2)、Gray opening 3×3 (byte)、Gray opening 7×7 (byte)、Gray opening 11×11 (byte)、Mean 101×101 (byte)、Binomial filter 5×5 (byte)、Subpixel-accurate measuring of edge positions (byte)、Sobel edge filter 3×3 (byte)など32種類あります。

たとえば、実際の事例を元にベンチマークによって得られる「設計に役立つ知見」をまとめると、以下のようになります。

ベンチマークによって直接得られるものはベンチマーク環境における実測値ですが、その数値データを元に「考察」という知見をまとめることが重要です。言うまでもなく、実際に業務環境で使用される画像処理PC実機はベンチマーク環境と同一ではありません。しかし、実測値を元に考察を整理してまとめておくことにより、実機で必要な性能を出すためのポイントを実証数値つきで把握することができます。このようなベンチマークがあれば、実用上十分な精度を備えた設計を短時間で行うことが可能になります。

HPCシステムズのベンチマーク・サービスとは?

実際に特定の画像処理用途向けに最適なPCを設計するプロセスにおいてベンチマークが果たすべき役割を整理しましょう。そこで行うべきベンチマーク作業は、以下の3ステップとなります。

<ベンチマーク計画立案>
使用するHALCONオペレーター、必要とする画像サイズ、大まかなマシンスペックを決定し、測定すべき条件・項目を確定します。

<ベンチマーク実施>
ベンチマーク環境を構築して数値を実測します。

<知見の整理>
実測値を元に整理して考察します。

このようなベンチマークを行うことにより最適な画像処理用PCの設計が可能になりますが、個々のユーザー企業が独自にベンチマークを行うのはハードルが高いことです。たとえば「ベンチマーク計画の立案」や「知見の整理」には過去の類似事例に関する経験の蓄積が必要ですし、「ベンチマーク実施」の環境構築をするにも、そのためにだけ必要な機材の調達や計測プログラムを設定する手間がかかります。
そこで役に立つのがHPCシステムズのベンチマーク・サービスです。このサービスは、計画立案・実施・知見の整理の各工程でお客様を支援します。3工程すべてをご依頼いただくこともできますし、類似事例レポート提供と計画立案のみという依頼にもお応えします。もちろん、その後当社に産業用PCの提案をご依頼いただく場合は、ベンチマークの結果を踏まえて最適な仕様で提案を行うことが可能です。つまりお客様は要求仕様を策定するだけで、数値的な根拠をともなう形で最適なPCの設計を手にすることが可能です。

<ベンチマーク・サービスが役立つ場面>
● 目標設定の把握
 既存のマシンとの性能比較することができます
● オーバースペック化の回避
 スペックの異なる複数のCPUやGPUでベンチマークが取れるので、仕様を最適化できます
● ベンチマークを元に画像処理用PCの仕様設計・提案
 HALCONでベンチマークを取るため、HALCONに最適化された設計が得られます

ベンチマークはオーバースペックな調達を避けるために不可欠なものですが、効率よく的確に行うためには経験の蓄積が必要です。不慣れな作業に自社のマンパワーを使うことを避けつつ最適な設計を得るために、HPCシステムズのベンチマーク・サービスが役立ちます。まずはお問い合わせください。