マシンビジョン・システムに適した産業用PCは既にさまざまな分野で使われていますが、いざ実際にシステムを組んでみても思うようなパフォーマンスが出せず、オーバースペック構成になってしまい必要以上に高価なハードウェアへの買い換え等により予想外の出費を迫られるケースが少なくないようです。そのような事態を防ぎ、必要なパフォーマンスと費用対効果が得られる産業用PCを設計・選択するために知っておくべき、メモリー性能について今回は考えてみたいと思います。

マシンビジョン分野における 処理性能向上にお悩みではありませんか?

マシンビジョン分野における処理性能向上の悩みをコストパフォーマンスよく解消するためには、ボトルネックになっている部分を見極めて適切な手を打つことが求められます。そのためには「マシンビジョン」機能を実現するために産業用PCの構成要素を大まかに把握する必要があります。その概要を示したものが図1です。
ラインから流れてくる検査対象物を判別するために、撮像機器(ラインセンサカメラ、エリアセンサカメラ等)で対象物を撮影し、そのデータを取込装置(グラバーボード等)で産業用PCのメモリーへと取り込み、CPUまたはGPUで画像処理を行いつつ、検査判別に必要な処理を行いストレージに記録します。同時にその結果はPLCや方向転換装置へと伝わっていき検査対象物は判別されていくという流れになります。コントローラー部分にあたる産業用PCの処理性能を向上させるために、CPUやGPUの性能だけに注目されるお客様も多いようですが、今回はマシンビジョン向け産業用PCハードウェア設計のひとつの鍵である、CPUとメモリーの選択についてのヒントをご紹介します。

既存機種と最新機種で CPUとメモリー性能を比較してみました

実際のところ、CPUとメモリーの性能はシステムの性能にどのような影響があるのでしょうか? 図2に掲載した既存機種と最新機種での構成例で比較してみましょう。
構成1はCPU:Core i7-4770S、メモリー:DDR3-1600を搭載した既存機種、構成2はCPU:Core i7-6700、メモリー:DDR4-2133を搭載した最新機種(2016年7月時点)のCPUおよびメモリーの構成例です。
しかし、CPU、ソケット、クロック、コア、メモリーといったカタログスペックの部分を見ても、数字が違うのはわかるにしても実際の性能がどのように違うのかはピンと来ない、というのが率直なところではないでしょうか。
そこで、図2には当社で作成したベンチマークの結果も掲載してあります。CPU性能を示すCPUMark では構成2は構成1の106%の向上。これはPASS MARK Software の CPU Benchmarks (http://www.cpubenchmark.net/) のデータをもとに作成したものです。確かに向上してはいるものの、その差6%では体感的にはあまり感じられそうにありません。

DDR4はDDR3と比べて約146%も性能がアップ

一方、メモリーの転送性能を示すMemory Bandwidthでは構成2は構成1の146%と、大幅な向上を示しました。この値は当社が産業用PCの実機を組んで総合ベンチマークツールSandraにより測定したものです。詳細な結果は下記の通りです。
この測定はマザーボード等の仕様の異なる実機により行っているため、正確に比較が出来る数値とは言えませんが、それでもメモリーの世代ごとの性能差は大きいことが見てとれます。メモリー世代ごとに平均した数値では DDR4/DDR3 で約148%、DDR3/DDR2では約469%の性能差があります。
メモリー以外に考慮すべきことも多く、これらの値はあくまでも参考値に過ぎませんが、メモリー転送速度がボトルネックになるようなマシンビジョン・システムを組むための産業用PCには、DDR4世代のメモリーを使用することを考慮すべきであると言えるでしょう。

お客様が求める性能を引き出すためにHPCシステムズが徹底支援

マシンビジョン・システムに適した産業用PCの構成は目的により千差万別です。本記事では主にメモリー性能の差をご案内しましたが、メモリー以外の要素が性能ボトルネックとなる場合もあります。
目的に合った最適なシステムを構築するために、HPCシステムズでは、お客様のご要望に応じた産業用PCの仕様設計をご提案。また、試作機の貸出対応も可能で、事前に実機で性能をご確認いただくこともできます。
HPCシステムズはマシンビジョン分野において処理性能向上にお悩みのご担当者様へ、豊富な産業用PCの選定・導入支援の経験を有しています。ぜひ、HPCシステムズにご相談ください。